ニホンに来たゴンゾウ

 真夏の暑い午後、僕とトカゲの月光は海へ行った。海にはシーラカンスのゴンゾウが来ていた。シーラカンスのゴンゾウははるばるアフリカの彼方の海からニ ホンへ遊びに来た。ゴンゾウはメガネをかけ首(果たしてシーラカンスに首はあるのだろうか)からデジタルカメラをかけ右ヒレにはニホン・ガイドブックと書 かれた雑誌を持っていた。

 ニホンってぇのはいいところらしいねぇとゴンゾウは僕に問い掛けてき た。そうだね、いいところと言えばいいかもしれないけどそうじゃ無いかもしれないよ、と僕は答えた。何処へ行きたいの?と問うとロッポンギに行きたいとゴ ンゾウは答えた。ロッポンギか、川を遡って行くの?いやぁ歩いていくよ。そうなんだ。

 ゴンゾウはおもむろに海面から上がると後ろヒレを 使って器用に歩き出した。よく見ればネクタイをしているしお洒落な靴も履いていた。これでもしてぃぼういだからさ、そう言ってゴンゾウは笑った。帰国する ときにまた逢いにくるよ、そう僕はゴンゾウに話しかけてその場を離れた。遠い遠いアフリカ、昔昔から生き長らえたシーラカンスのゴンゾウにニホンはどう映 るのかぜひ聞いてみたいものだ。

 僕がぼーっと考えているとゴンゾウは起用に歩いて地下鉄の構内へ降りていった。
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