紳士のジョン



 ある晴れた日、犬の紳士、ジョンに逢うためにトカゲの月光と隣町まで出かけた。 ジョンは紳士だった。シルクハットをかぶり蝶ネクタイを付けスティッキを持っている。私たちは時々逢ってはジョンの話を聞きながらいつもの喫茶店でティータイムを愉しむ。

 お茶を飲んでいる間中ジョンはいろいろなことを話す。犬の大統領がどうのこうの、犬社会の経済状態がどうのこうの、犬の散歩がどうのこうの....僕とトカゲの月光はジョンの話に相槌を打ちながらお茶を飲むのが好きだった。犬の世界の話はとても面白い。

 ひとしきりジョンが話終えるとどこからともなく懐中時計を取り出して眺めた。おお、これはもうこんな時間ですね。そろそろ私も戻らなければ。そういうとジョンは僕と月光に深々と頭を下げて喫茶店を後にした。

 残った僕とトカゲの月光はいつも犬の大統領ってどんななんだろうねと話した。どんな犬なのかを想像しながら呑むお茶はいつも美味しかった。

イラスト (c)2005 cocoro
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